【症例報告】
◎主訴:肩の痛み(四十肩・五十肩)
40代男性
4ヶ月前から左肩の痛みを感じ出す。整形外科に行き「四十肩」と診断を受けたため、痛み止め注射を何度か受けるが変化はなく、月日と共に痛みが増していく状態。次第に日常生活、仕事時の痛みだけでなく就寝時の痛みも強くなり夜も寝付けず不安を感じている。一刻も早く痛みを解消してほしいとご来院。
⚫︎視診触診
肩甲骨に広い面積で付着する棘下筋に顕著な筋硬結
肩関節の挙上代償運動として肩甲挙筋の短縮が見られる。
肩甲骨周囲、上腕の触診では軽い圧で痛みを感じるほど敏感になっている。
⚫︎治療
肩関節の痛みと関係の深い棘下筋・三角筋をメインに治療しつつ、上肢全体の動きを作るため胸椎に可動をつけるよう治療開始。
1回目:響きとともに悪いところに鍼が当たっている感覚。ぼんやりとしていた痛む箇所が鍼の響きとともに明確になる。
2回目:ペインスケール(PS)10→7
4回目:日常動作の中で辛かった洗髪動作が楽になる。
6回目:全体的に痛かった肩の痛みが落ち着き、残すは肩前方の痛みのみ。
仰向けにて、肩前方を走行し強い痛みの原因となる棘下筋上腕骨大結節付着部・上腕二頭筋腱の治療開始。
8回目:仕事時、生活動作で痛みを気にせずに肩をつかえている。気がつけば夜も痛みを気にせず朝まで眠れている。
可動域制限のリハビリも合わせて現在治療継続中。
四十肩、五十肩は痛みをそのままやり過ごそうとすればするほど慢性化し治しづらくなる症状です。体重の5〜6%ほどある上腕骨は肩甲骨にぶら下がるように付着しており、肩のインナーマッスルは上腕骨を重力に逆らって支えているため、常々負担がかかっており一度痛みを発症すれば次第にアウトマッスルの緊張にもつながり根深い痛みへとつながっていきます。また痛みが落ち着いた際に現れる可動域制限もこの症状のやっかいな点です。痛みを早期に取りつつ、本来の肩関節の柔軟性を取り戻すためにも粘り強く治療をすることが大切です。